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歴史から学ぶ音声ガイド導入のメリット

ヨーロッパで始まった音声ガイド・サービスは、1950年代から今日にかけて急激に広まり、美術館・博物館にとどまらず、遺跡、水族館、動物園、企業施設、観光地にいたるまで、様々なシーンに活用されてきました。いまや欧米の主要な美術館・博物館では、音声ガイドはなくてはならないサービスです。ここでは、美術館・博物館と音声ガイドの歴史をたどりながら、音声ガイドの導入によってどのようなメリットがあったのか見ていきましょう。


音声ガイド導入のメリット

基本的なメリット

  1. 館内をスムーズに案内する、ベテランの案内係りの役を担うことができます。
  2. 外国のお客様にも、質の高い母国語のナレーションでご案内できます。
  3. パネルやキャプションを読む必要がなく、展示品に集中しながら情報を聞くことができます。

さらなるメリット:質の高い音声ガイド・コンテンツの場合

  1. コンセプト、研究成果など、伝えたいメッセージを正確に、かつ多くの人に伝えることができます。
  2. 歴史、秘話などを語ることで、展示品の持つ魅力をより深く体験することができます。
  3. プロによる脚本、ナレーション、音響を用いた印象的な演出により、専門的な内容を一般の人にもわかりやすく、かつ、記憶に残りやすい形で伝えることできます。
  4. 満足できる音声ガイド体験は、次の来館を促すので、リピーターが増えます。
  5. 音声ガイドを楽しんだ人は、そのなかの印象的な解説のフレーズを人に伝えることが多いことがわかっています。そのため、一人一人がプロモーターの役割を担ってくれることとなります。
  6. 利用者の人数、導入の形態によっては、音声ガイドは来館者に役立つだけでなく、主催者にとっても、次の展覧会を企画するための重要な資金を与えてくれます。
  7. 子供、外国人など、特定のターゲットを想定した音声ガイドを制作することで、来て欲しい人々を動因するツールとして役立ちます。

音声ガイドの歴史

美術館や博物館では、伝統的に、展覧会の企画のコンセプトや作品の情報を、キャプションやパネルといった文字情報で提示してきました。しかし、その一方で、パネルに記されたご挨拶、章解説、作品解説といった情報を、すべて読む来館者がほとんどいないことも、古くから指摘されてきました。そうしたなか、文字情報ではなく、音で情報を伝えることができる画期的な方法が、技術の進歩により生まれたのです。


1950年代
機器:ラジオ短波を使った携帯型音声ガイドが登場
内容:展示品の基本的情報、もしくは、学芸員による難解なコメント。

写真
ラジオ短波式音声ガイドを聞く人々
1961年 科学博物館(ロンドン) ‘Science Museum/SSPL’
EUROPE
ステデリック・ミュージアム(オランダ)の館長が、ラジオ短波を使った携帯型音声ガイドを美術館に初めて導入。オランダ語、フランス語、英語、そしてドイツ語による音声は、まるでベテランの誘導係のごとく、各国から来た来館者をスムーズに誘導し展覧会を案内する役割を担った。
U.S.A.
アメリカ自然史博物館(ニューヨーク)は、公共ラジオで展示品のレクチャーを定期的に行い、ラジオで取り上げられた展示品を見ながらレクチャーを聞ける音声ガイドを準備することで、来館者の動員にも役立てた。

1960年代
機器:ラジオ短波式に代わりカセット・テープ・レコーダーを使った携帯型音声ガイド機器が登場
内容:ブルジョワ層の要望に答え、初心者にもわかり易い内容が工夫されるようになる。

1960年代の写真
National Gallery of Art, Washington,DC.,Gallery Archives
ナショナルギャラリー(ワシントンD.C)で使われた、カセットテープ式携帯型音声ガイド
EUROPE
ラジオ短波式の音声ガイドが普及。1961年には、イギリスの科学博物館(ロンドン)でも使われた。
U.S.A.
1961年、自然史博物館(ニューヨーク)は、音声ガイド・ツアーをいくつか用意し、ラジオ短波式音声ガイド機器の表に取り付けられたチャンネルを使うことで、来館者が好きなツアーを選べるように工夫した。
 
1965年、ナショナル・ギャラリー(ワシントンD.C)に、カセット・テープ式携帯型音声ガイドが導入される。この音声ガイドには、イヤフォン・ジャックが二つあり、二人でひとつの音声ガイドを一緒に楽しむことができた。カセット・テープ式音声ガイドは、この後、ラジオ短波式に代わり広く使われることになるが、この時期はまだ技術的に不安定で故障が多かった。
JAPAN
1966年 毎日新聞社主催の「ミロ展」(国立近代美術館 東京・京都)で、音声ガイドが提供されたといわれている。おそらく、ラジオ短波式のものであったと推測されるが、詳細はわかっていない。いずれにしても、その後、30年近く、日本では音声ガイドが普及することはなかった。

1970年代
機器:カセット・テープ式音声ガイドが改良され技術的にも安定、大型展覧会の幕開けとともに黄金期を迎える。
内容:有名な俳優をナレーターに起用するなど、プロモーションも担った演出が重視される。

1970年代 ツタンカーメン
U.S.A.
1976年から1979年にかけて、「ツタンカーメンの秘宝展」がワシントンDCを皮切りに、シカゴ、ニューオーリンズ、ロサンゼルス、シアトル、ニューヨーク、サン・フランシスコを巡回し、全米で約800万人という記録的来館者を動員した。当時、アコースティガイド社の会長兼CEOだったロバート・カトラー氏は、この展覧会にカセット・テープ式音声ガイドを導入し、教育・収益の両面において大成功を収めた。各会場で来館者の実に5割~9割が有料の音声ガイドを借りた。

1980年代
機器:カセット式音声ガイドが、欧米の主要な美術館、博物館に導入される。
内容:決められた順で解説を聴くというカセット・ツアーの制約のなかで、よりクリエイティヴな内容が模索される。

1980年 アルカトラズ島
アルカトラズ島
U.S.A.
1987年、サン・フランシスコのアルカトラズ島元連邦刑務所で、かつてこの刑務所にいた看守や囚人たちが自らの体験を語るという画期的な音声ガイドツアーが始まり大きな話題を呼ぶ。アンテナ・シアター社(アメリカ)、後のアンテナ・オーディオ社(イギリス)が制作したこの音声ガイドツアーが爆発的にヒットしたことで、アルカトラズ島は、現在でも、夏は1ヶ月先まで予約がとれないほどの一大観光地となった。世界各地から訪れる人々のほぼ全員が、日本語を含む多言語が準備されている音声ガイドを借りている。この音声ガイド・ツアーは、アメリカ合衆国国立公園局から最高の解説としての賞を授与され、その後、アメリカでは、音声ガイドの解説の質が特に重視されることとなる。

1990年代
機器:CD-ROMを使った画期的技術により、10キーを入力することで膨大な数の解説に瞬時にアクセスできる音声ガイド機器―ギャラリー・ガイドが登場。
内容:好きな順番で解説を聞けるだけでなく、言語やプログラムの切り替えも簡単になり、音声ガイドの内容はますます多様化していく。

ギャラリー・ガイド
ギャラリー・ガイド(Arts Communication and Technology/ACT社)
ルーヴル美術館、ナショナル・ギャラリーなどにいち早く導入されたこの画期的音声ガイドは、当時ACT社の日本総代理店であったアートアンドパートを通じ1998年MIHO MUSEUMに導入され、10年以上にわたり使われた。
EUROPE
1995年 ロンドンのアーツ・コミュニケーション&テクノロジー社が、MP3の音声技術をCD-ROMに用い、10キーで番号を入力することで、膨大な数の解説に瞬時にアクセスできる音声ガイド機器=ギャラリーガイドを開発。アムステルダム国立美術館(ライクス・ミュージアム)の企画展で初めて導入され、大きな話題を呼ぶ。従来のカセット・テープ式では、解説を聞く順番が固定されてしまうのに対し、ギャラリーガイドでは、利用者は自分が好きな順に作品を見ながら、解説を聴くことができる。言語やプログラムの切り替えも簡単で、100時間近い音声を収録できるギャラリー・ガイドは、その後2,3年の間に、ナショナル・ギャラリー(ロンドン)、ルーヴル美術館(パリ)をはじめとする欧米の主要美術館を席巻した。
JAPAN
1995年、アートアンドパートは、アーツ・コミュニケーション&テクノロジー社(ロンドン)の依頼を受け、日本への音声ガイド・サービス導入の可能性を調査。この時期、NEC、日立超LSIシステムズ社などが、音声ガイド機器を製作し、一部の美術展でサービスを開始していた。ただし、キャプションの読めない年配の方のために、その内容を音声で伝えるためという目的が中心だった。 1996年、神戸市博物館で開催された「オルセー美術館展」(主催;日本経済新聞社 他)に、フラッシュメモリーを用いた音声ガイドが導入された。

1998年、アートアンドパートは、ロンドンのアンテナ・オーディオ社(アメリカのアンテナ・シアター社とイギリスのアーツ・コミュニケーション&テクノロジー社が合併し生まれた世界最大でもっとも質の高いコンテンツを提供する音声ガイド会社)の日本総代理店として、MIHO MUSEUMの開館にあわせ、200点以上に及ぶ解説を日本語と英語で制作、ギャラリーガイドの機器とともに納品――以降、アートアンドパートは、日本の音声ガイド・サービスをリードしていくこととなる。

2000年代
機器:マルチ・メディアの音声&映像ガイド機器の導入や、携帯を使ったダウンロード・サービスが始まる。
内容:一方通行に解説を伝えるのではなく、クイズに答えたり、感想を入れたりする参加型の音声ガイドも増える。また、美術館からの解説でなく、来館者が作る音声ガイドという考え方も注目される。

1990年 マルチガイド
マルチ・メディア機器
オフィリス・システム社
EUROPE
2002年、テート・モダン(ロンドン)が、マルチ・メディア機器を導入する。PDAを音声ガイド専用機に改良したもので、ワイヤレス・ランを使って、見知らぬ来館者同士で好きな作品の情報などを交換することも可能な画期的プログラムを作り上げた。(ただし、残念ながら、現在は、双方向プログラムは使われていない)。 2008年、ルーヴル美術館(フランス)も、マルチ・メディア機器を導入。
U.S.A.
マンハッタンの大学の学生と教師が、ニューヨーク近代美術館(MOMA)のコレクション作品のいくつかの解説を自分たちで制作し美術館に持ち込む。それらの音声ガイドは、インターネットからもダウンロード出来るようになっており、美術館という権威側だけでなく、見る人側からの見解をフィードバックする音声ガイドということで、ニューヨークタイムスの見開きでも報道された。

2010年代 (予測)

2010年 ユニバーサルツアー
楽器博物館Cite de la Musique 
(パリ ラヴィレット)
音声ガイドは無料で、様々な楽器の音色とともに解説を楽しむことができる。
機器:世界的に、従来型の10キー式が依然として主流と思われる。マルチ・メディアの音声&映像ガイド機器は、コンテンツ制作に多大な労力とコストがかかることから、思ったほどは伸びない。携帯のダウンロード・サービスも、コスト、時間、使い易さの面での課題が多く、急激な普及はないと思われるが、若い人が多く集る場所や用途によっては、新しい可能性を開くかもしれない。
 
内容:欧米では、音声ガイドを無料にし、できるだけ多くの人々に聴いてもらおうとする展覧会や美術館、観光地などが増えており、展示そのものが、音声ガイドとより密接にリンクしつつある。日本の音声ガイドも、質の高い内容がより重視される方向に向かうと期待されるとともに、ダウンロード・サービスの新たな活用法が模索される。

参考文献:
Edited by Loic Tallon and Kevin Walker 「DIGITAL TECHOLOGIES AND THE MUSEUM EXPERIENCE- HANDHELD GUIDES AND OTHER MEDIA」 他


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